【オルタのこだま】

オルタ133号を読んで

豊間根 龍児


 今年もびっくりするような事柄が次々と起きています。オルタを頼りに情勢を読み取ってゆこうと思っておりますので、今年もよろしく願います。

○棚上げ: 鈴木善幸元首相が小平と棚上げの合意に達していたのを公表しなかったのは非常に残念。矢吹晋氏の発言どおり、今からでも遅くはない、棚上げ合意を認め日中国交の道を探るべきだと思う。言われている通り、日中台共同管理の合意が出来れば世界の手本となろう。

○南北逆転・加速する世界: アメリカ・オバマのバタバタぶりに比べ、中国・習近平は白鵬並みに堂々としている。同門ロシア・プーチンも頑張っている。EUの褌は緩んでいるし、褌担ぎの日本はきょろきょろするばかり。世界情勢を国技・相撲に譬えてしまったので具合が悪いが、そろそろプロレスに場を変え、お互い合意のもとに致命傷にならぬ程度にドンパチやるというのはどうだろう。

○首脳会談後の日中関係: 心理学的に国際関係を見る見方は面白い。日本を乗り越え自信がついた、歴史問題についても余裕が出てきたという。習近平も「二分論」など理解あること言っている。日本の安全保障・集団的自衛権についても、先の棚上げ論も含めて十分話し合って欲しい。

○日中をつなげる: 日中市民社会ネットワークは、一般人を対象とせず、相手を知る必要のある人を対象にして、日本の特色を生かせる分野に対象者を絞って真に役立つことをしているという。効率的で素晴らしいと思う。ところで余裕が出来たと言われる相手側は、中国の特色を生かせる分野に対象者を絞って窓口を開いているのだろうか。

○方正日本人公墓: 悲惨な満蒙開拓団逃避行、その途中、方正収容所で亡くなった5千人の方々の墓を人民政府が立てたという。相手にとっては侵略者の墓である。「方正友好の会」の人も、ご厚意に応え、尖閣問題は棚上げにしろ、「世界市民」で行こうと言っている。

○朴政権の歴史的使命: 韓国の近代史、勉強させていただいた。知ってみれば、朴槿恵大統領は親父の遺産を引き継ぎ、対日問題で引くに引けない立場にあることがよく分かった。引けば、国民から突き上げられ立場を失うことになろう。この解決には、アメリカまたは中国の仲介が要る。穏当なのは中国との国交回復、次いで「中国が国交回復したのなら」ということで、韓国の国交回復の順であろう。「尖閣棚上げ」になれば、早いかも。

○韓日青少年: 知らない作家、作品が次々出てくる。時代を掘り起こすいい手掛かりになると思う。これらを通じて韓日青少年平和交流が行われているとは知らなかった。明るい未来を切り開いてほしい。

○シャルリー・エブド社: 表現の自由と言ったって限度があると思う。読んだ人の気持ちになって表現して欲しい。みんなそう思っていると思う。では限度を超えたら、人を殺すまで行くか。武士の時代ならそこまで行くかも知れないが、今はそこまでは行けば行き過ぎだ。いくら冒涜されたって人殺しまではどう考えたって行き着かない。言われるように、平等・博愛と自由が同等までに尊重されなくてはならないし、復讐だって限度がある。

○侃々諤々: (1)自治体間の交流:国内友好都市交流でも難しい。ましてや、国外となるとおっしゃるようにいろいろな問題があると思う。相手を選んだつもりでも、発展度合いの差で立場逆転。成熟したインフラ、民間主体と技術交流、細やかなおもてなしが売りかな。
(2)年の瀬のささやかな一日の出来事:いやあ、面白い。終戦前後のドタバタを思い出す。日本人もこうやって生き延びてきた。そして妙な何でもありの自信があった。もう、あんな経験したくないと思う。が、乗り越えてきた人には、この中国人の行動は理解できよう。
(3)同文なれど:中国人が最も信じているものは「歴史」と言われれば、そのように思う。それに比べ、日本人は「歴史は過去のもの」という。そうでもないと思うが、異なるものを受け入れて自分のものにしてしまう混合文化と言われればそのとおりと思う。世界の一つことにこだわって紛争している状況を見れば、日本が特異というのもうなずける。この考え方を理解してもらう努力をしようというのは大賛成だ。
(4)働く者の新たな交流を:大きな制度の違いの下で日中労働組合が60年も交流してきたなんて驚きだ。此処を発信源として冷え切った中日友好の関係を溶かすというのは大いに期待したい。
(5)CSネット:CSネットの話は前にもあった。その中のデイサービスセンター「楽齢」の話。30年余りの一人っ子政策の影響で家族扶養が極めて困難になってきているという。日本も少子化が進んできているから同じ悩み抱えている。地域における住民間の支え合いが成功のポイントなるという。ともに抱えるこの問題、どう交流してゆくか。ともに考え合うのは意義あることだ。

○なぜ忙しいの: ロンドン・エコノミスト誌が、この問題を取り上げているのは驚き。一昔前、こま鼠のように働く日本人をイギリス人は嘲笑っていたと思うからだ。時間給が長時間労働の一因という。余暇時間も最大限利用しようと余暇が余暇で無くなり、今や、高学歴高給取りのレジャー階級がより忙しい人になって、がつがつ働くことが恥と思われなくなってしまったという。最後にセネカの言葉を引用し、みんな忙しくしているが、いったいどこを目指しているのか、何のために多忙なのかと締め括っている。日本では、コメントにあるように現況の労働組合の状況からすると大きな問題抱えていることも確かだ。

○ゾンビのアベノミクス: 国民は何か出そうだと期待して総選挙に自民党を勝たせたが、フォーリン・アフェアーズはゾンビを出させた。ゾンビとは何だろう。小生は何も出ないで、公的債務の重さで、奈落の蓋が外れるのではないかと危惧する。

○仏教過激派連合: 仏教にも過激派が居るのだ。今まで無抵抗だから、インド・中国で仏教が追い出されてきたと思っていたのに。ここでは少数のイスラム教徒の排斥・抑圧を図っているという。差別なき大悲を旨とする仏教者にとってゆるがせに出来ないことだ。師には、最近、「握れば拳、開けば掌」という諺を教わった。多くの穏健派の仏教徒の説得に期待したい。

○寿産院事件: 幼い頃の事件を鮮明に覚えておいでだ。これを切っ掛けに新聞記者になりたいと思い、見事目的を達成されている。素晴らしい。私も帝銀事件の頃、目白に居たが、何も考えず、のほほーんと過ごして今がある。時すでに遅し。

○衆議院選挙: 投票したくとも出来ない中国の人たちから見れば、投票しない国民の気持ちは信じ難いという。棄権した人に聞かせたい言葉だ。日本も無断で棄権したら選挙権剥奪としたら投票率上がるだろうが、自民党がさせないな。香港のような直接行動も日本人は苦手かな。安保闘争の時はやったけれどね。

○フィリピン農村医科大学: 風速60メートルとはすごい。地域現場で実地体験を積んだのち、「地域住民の推薦」を受けて、初めて「医学コース」に進級できるとはよく考えた仕組みだと思った。でも、台風のコースは避けたいなあ。

○大原雄の: フランス人に歌舞伎が分かるように、また、解説している中でその場の雰囲気を読み取って臨機応変に変えられるように準備しているとはすばらしい。今の多くの日本人の知識は、フランス並みだと思う。私も是非、聞いてみたい。

○たかが正月: 韓国は旧暦で正月を祝うのですか。でも、一頃、太陽暦を採用し、それをまた、旧暦に戻していることに驚きました。笛吹けど踊らず、あらたむるに憚ることなかれ、ですか。グローバル化の時代、ずれていた方が、平準化されていいかもね。

○辺野古新基地: 先にも書いたが、今回の選挙でここまで沖縄住民の意思をはっきり表明されたらやはり国民全体として考え直さなくてはならないと思う。理屈を並べる段階ではないのではないか。

○だって被害者: 多くの日本人は「だって被害者だもん」と言って戦争責任を逃げるつもりは毛頭ないと思う。原爆・戦災の悲惨さを口にする時、「戦争の悲惨さ」を思い浮かべ、「もう戦争はごめんだ」と叫んでいるのではなかろうか。何故、加害責任を認め謝罪するのが遅れたのか、この理由はここに書かれたことが当てはまるのであろうが、国民として戦争責任を追求したい人が大勢いた。それが軍事裁判の陰で、逃げ隠れしたり、君子豹変、口を拭って民主主義を唱えて、壇上に登っていた。なんでこの人がと思ったものだ。

○三四郎: 憧れの眼で見ていた旧高校時代。淡き青春。往生際が悪いと言いつつ、あがいても仕方がないと達観している。

○原油50ドル: なるほど、シェール・オイルや再生可能エネルギーの市場退出を迫る「ショック療法」か。でも、確実に石油は減っているのでしょう。こんなことで無駄遣いしていいのだろうか。石油に変わるものを足止めさせてエネルギーの枯渇招いたらどうしてくれるのだろう。

○深セン便り: ワーァ、私も田中裕子の隣に座ってみたい!

○ミャンマー通信: 憲法改正要求500万筆! 集めたなあ。日本・憲法改正反対500万筆、さてどうなるでしょう。どちらも無視でチョンか?

○ジェンダー: 世界にはすごい女性がいる。これらを教えて頂いた連載、有難うございました。アメリカがヨーロッパに比べ働きにくい国になっていることは知らなかった。どうして後退したのだろう。これらに対して理解あると思われるオバマを頂いているのに。安倍首相が何処まで踏み込めるか。大いに期待したい。

○働くこと: 考えさせられる図書だと思った。今までの流れを要領よく纏め、今の問題点のよって来たる所を浮き彫りにし、今後どうするかについては、労働組合のあり方に提言されているようだ。一読してみたい。

○満蒙開拓団の落日: この映画、「出来る限り明るく淡々と映している」とあるが、まともに見る自信がない。

○マスコミ同世代史: トマ・ピケティ「21世紀の資本」に対する各紙の見方が違っていて面白い。衆議院予算委員会でも取り上げられたが議論かみ合わなかったとあったが、少しでも格差解消につながってくれるとうれしい。朝日の「Re:お答えします」で取り上げているテーマはどれも興味を引く。読んでみたい。

○014年総選挙: 細かく分析されている。結論として出されている「野党に魅力なし」に尽きていると思う。新しい民主党党首、どう立て直すか。期待したい。

○インド・ブータン: 話している言葉で国の識別は出来ない、なるほど、みんな、いろいろな言葉を知っていて、それを使い分けているのだな。日本じゃ考えられない。お寺にもいろいろな流派がある。どう違うのだろう。お坊さんのファンクラブ、毎日廻ってくれば出来て当然だろうな。

○川柳・私に最もしっくりきた句: 逆走は 車に限らず 平和にも

 (筆者は稲城市在住・元団体役員)


最新号トップ掲載号トップ直前のページへ戻るページのトップバックナンバー執筆者一覧