【日中の不理解に挑む】

甘い皮の肉まん

                         陳 燕


日本に来て14年目になった。最初の頃はカルチャーショック、というか慣れないところ、ジレンマを感じたところが多かったが、当時何をどう思っていたかほとんど覚えていない。そして時間の流れとともに、いろんなことを理解できるようになった自分がいる。
この間、同じゼミの学生に聞かれて、「東京はどこの中華料理が一番中国の味なの?」「中国の味?東北の味しか知らないけど、東北の味なら、池袋の…がおいしい」。それから場所を教え、よく注文するものを教えた。
中 国の味?その言葉で、日本に来たばかりの時のことを思い出した。親しい友人が横浜の中華街に連れていってくれた時のことだ。少しでも望郷の思いを和らげよ うとしてくれたのはありがたかったが、いろいろショックを受けたのだった。来たばかりの留学生の共通の感覚かどうか分からないが、つい何でもかんでも円か ら中国の元に換算して、比較してから買う癖がある。何もかも高いというのが最初の感覚だった。そんな中、最もショックだったのは甘い皮の肉まんだった。こ れって名物?高い値段(1個300円に対し、中国では2元 だった)のわりに、こんなまずいものを食べる理由が分からない!当時は本当に理解できなかった。日本に来て日本のマナーを学び、日本人がなぜかそういう行 動をするかという文化を知り、日本人の味も分かってくるようになった。それほど好きではないが、この甘い皮の肉まんも慣れてきた。日本人の考えを持とうと する自分がいる。これは「入郷随俗(郷に入れば郷に従え)」だと思う。
日本で経営すると日本人のお客さんがたくさん来るので、ほとんどの中華料理の味は日本人の好みに合わせている。これも「入郷随俗」の一つだろうか?最近、中国語がうまい日本人になったと、指導先生や友人から冗談で言われた。自分はまだまだ中国人だと思うが、「入郷随俗」した中華料理のように…危ないのかも><
              (筆者はCSネット・スタッフ)


最新号トップ掲載号トップ直前のページへ戻るページのトップバックナンバー執筆者一覧