【編集後記】

加藤 宣幸


◎私たちが発信するこのオルタには、今まで300人を超える執筆者の方々がボランティアでご寄稿下さった。今月号にも幅広いジャンルから30人近くの方にご執筆を頂き、編集にあたる者として本当に嬉しい。勿論、執筆者の輪が自動的に広がったわけではない。多くは執筆者の方からのご推薦によるものだ。今月号の場合も、直木賞作家で秩父困民党関連など多くのリベラルな作品や石橋湛山研究・マスコミ九条の会呼びかけ人など行動派知識人としても知られる井出孫六さんから、安倍政権の特定秘密保護法に関連して『最近考え思うこと』として戦前の横浜事件の言論弾圧についてご寄稿いただけたのは、オルタ執筆者で日本ペンクラブ会員大原雄・林郁さんお二人のお陰である。

◎憲法がテーマの今月号に、韓国・慶煕大学教授エマニエル・パストリッチさんから、彼が昨年「ハフィントンポスト」に載せた『日本の平和憲法は「過去」でなく「未来」である』を転載させて頂いた。この方が異色なのは、夫人が韓国人だから韓国語が堪能だというだけではなく、先年出した『韓国人だけが知らない別の大韓民国』という著書が、朴槿恵大統領も読んだ本という評判もあってベストセラーになったほど韓国の文化や歴史に詳しく、日本語も東大で江戸時代の文学を専攻したという本格派だが、論文は中国語でも書きフランス語・ドイツ語もこなすという天才肌なことだ。

私がエマニエル氏にお会いしたのは沖縄の基地問題を中心に日米間を奔走し、本号でも発言されている猿田佐世弁護士が主宰する「NDの会」(新外交イニシアティブ)のシンポジウム(3月4日)での懇親会だった。頂いた論文は韓国に戻られてから多数送って下さった中の一つだが、政治外交問題の専門家ではなく東アジア諸国の文化・文学の研究者としての視点から見た東アジア論は私たちに多くの示唆を与えてくれる。

◎今月のオルタは、90年代にYKK(山崎拓・小泉純一郎・加藤紘一)の一人として自民党を動かした重鎮で元自民党幹事長・元副総裁山崎拓氏と、元社民党政調会長で現民進党阿部知子氏との対談を実現したが、動画は YouTube で発信し記事は本誌に載せることにした。先月号で慶応大学名誉教授・弁護士の小林節氏と阿部知子氏との対談を載せたが、この企画はそれに続くシリーズ第2弾で次回は河野洋平氏のオルタ・セミナーにおける講演を予定している。立憲政治を根底から破壊し日本を戦争のできる国にしようとするアベ政治の暴走を阻止するには全野党が共闘を進め、今一つ「キレ」のない民進党にはカツを入れ、アベ政治に批判的な保守層の人々とも幅広く連携して貰いたいと思う。

◎【コラム】「落穂拾記」は先月号で50回になり、筆者の羽原清雅氏から一区切りつけたいとのお申し出があったので、今月からは荒川文生氏の「技術者の視点」が始まる。新しく【海峡両岸論】と【社会運動】という二つの欄を新設したが、前者は今まで岡田充氏から不定期で東アジアの安定に大きな影響を及ぼす中国・台湾関係論をご寄稿頂いていたものを定期化し、後者は生活クラブ生協グループ(組合員約36万人)のシンクタンク「市民セクター政策機構」が発行する雑誌・季刊『社会運動』との提携を強め記事の相互交流を図るものだ。

◎【日誌】4月21日:新宿・岩根サロン。23日:大森暢久法事。24日:飯田橋仕事館・琉球・沖縄の自己決定権。前田朗・中野敏男・上村英明・新垣毅。25日:検診。26日:ちよだプラットホーム・大河原雅子を囲む会。27日:グランドアーク半蔵門・『月刊日本』を激励する会・南丘喜八郎。明大・社会運動ユニオニズム研究会・最低賃金制研究。29日:調布・荒木重雄。30日:自宅・仲井富。

5月2日:自宅・藤田裕喜。5日:神保町・仲井富・小枝夫妻。8日:自宅・野沢汎雄。10日:東洋学園大・孔子の思想とアジアの未来。11日:飯田橋・ソシアルアジア研究会総会・懇談会・荒木重雄。13日:自宅・オルタ英語版・藤田裕喜・金子達昭。16日:都市センターホテル・江田三郎しのぶ会・江田五月・山口二郎・菱山郁郎・竹中一雄他。17日:稲城・仏教に親しむ会。19日:議員会館・プログレス研究会。

■【今月のオルタ動画案内】
  YouTube 配信 http://www.youtube.com/user/altermagazine

◎元自民党幹事長山崎拓と民進党衆議院議員阿部知子との緊急対談
◎日米外交の仕組みを紐解く          猿田佐世弁護士


最新号トップ掲載号トップ直前のページへ戻るページのトップバックナンバー執筆者一覧