【編集後記】 

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○ まさに参議院選挙たけなわだが、何としても与野党逆転が実現して欲しい。
安倍内閣は、改憲を呼号し、教育基本法・国民投票法を強行採決、さらに強
引な会期延長で、実質審議を欠いたまま、改正政治資金規正法などを目玉に
数多くの法律を成立させた。しかし、赤城農相問題でそれが完全なザル法で
あることが暴露されたように何でも法律を制定すればよいというものでは
ない。政府与党が『百年安心』を謳い、大宣伝した年金制度は「グリンピア
の底なし浪費」「消えた年金5000万件」など、まさにボロボロである。こ
れは「経済大国」「先進国」なるものでの出来事とはとても思えない。「美し
い国」どころか、「恥ずかしい国」だ。これこそ、まさに長年にわたる自民
党一党支配政冶の宿弊である。

○ 今月はロシア特集として石郷岡日大教授に『プーチン政権のロシア』、望
月北大名誉教授には『極東ロシアと北海道経済』をお願いし、いずれも力の
こもった骨太の論考をいただいた。日本では、一般的にロシア関連の情報が
少なく、日本のマスコミからだけでは、私たちが事態の本質を理解するのはか
なり難しい。しかし、2人の方は、ソ連時代から長年にわたって研究・考察
をつづけられた専門家であり、それぞれについて、明快的確な指針を頂いた
と思う。 
 なお、極東ロシアの動向などについて関心をお持ちの方は望月先生が主宰
される『日ロ北海道極東研究会』(du7k-mczk@asahi-net.or.jp)への参加を
お勧めしたい。年会費2000円を払えば遠方の方には研究会報がメールで配
信される。

○ 初岡姫路獨協大学名誉教授の『回想のライブラリー』は先号で20回とな
り、好評のうちに連載を終了した。今号からは『国際報道短評』としてエコ
ノミスト誌などの海外主要メデイアの論調のなかからこれはというものを
短く論評していただくことになった。是非ご期待願いたい。初岡氏は昨年、
大学を定年で退職されたあと、イタリア・エジプト・イラン・インドネシア・
韓国・中国などを旅行され、目下、韓国・「安東自由大学」開設に取り組ん
でおられる。まさに席の暖まる暇もないなかでの執筆になる。そのうえ、外
国人記者クラブのミーテイングには必ず出席され「オルタ」のアンテナにな
って情報を収集して頂いている。なお、『国際報道短評』は初岡氏以外にも
複数の方に中国・韓国・ロシア・フランス・ドイツ語などの新聞・雑誌・単
行本メデイアからの短評をお願する計画である。

○ 70年前の1937年7月7日は、北京郊外の盧溝橋で日中戦争が始まった
日である。日中問題コンサルタントの篠原令氏は『愛国心を超えて真の連帯
を』で、この日について侵略された中国側に多くのイベントがあるのは当然
としても、侵略した側の日本側に殆ど動きが感じられないのでは、両国関係
に真の連帯は生まれないと指摘されている。同感である。今井正敏氏からも
「オルタのこだま」に朝日新聞社説を引用した『忘れてはいけない盧溝橋事
件』という同趣旨の投稿があった。

○「北から南から」では、各地の「護憲」運動の動きとして、栃木の「日本の
青空」上映会の取り組みを大森八重子さんに報告していただいた。私たちの
メデイア「オルタ」は41号42号で日本国憲法の誕生について「憲法研究
会」の果たした役割を高野岩三郎氏のイニシアチーブを中心にして河上民雄
氏にお話いただいたが、この映画はその事務局長として起草にあたった憲法
学者鈴木安蔵氏を主として画いたもので是非お奨めしたい。問い合わせ先な
どは【催し物案内】欄に載せてあります。

○ 去る7月5日東京で、「オルタ」にご夫妻で『ガン闘病記』を連載されて
いる吉田勝次兵庫県立大学教授の快気を祝う「感謝の会」があり、初岡昌一
郎氏とともに参加した。当日は少人数で親しい方だけの心温まる会だったが、
元国連大学副学長武者小路公秀氏、元防衛庁官房長で軍事評論家の竹岡勝美
氏、劇団民芸文芸部清水柳一氏などに朝鮮・台湾の友人も加わり大いに
盛り上がった。とくに末期ガン患者として専門医から見放された後、あらゆ
る「オルタナテーブ」の療法を実践され抜かれたご夫妻の強い意志力には出
席者全員が感銘し、これからのご壮健を心から祈念した。

○ お詫び。
 この号では沖縄国際大学佐藤学教授に「憲法問題」について論じていただ
くよう力石定一先生を通じてお願いし、『憲法九条についての極私的考察』
という玉稿をFAX原稿で頂戴いたしました。 その原稿に加筆の要ありと
のメモがありましたので編集部としては締め切りギリギリまで加筆分の送
稿をお待ちしましたが、最終的には拙速を避け、著者のご了承を頂いた上で、
次号に掲載することに致しました。編集部の不手際で執筆者・読者にご迷惑
をお掛けしたことを深くお詫びします。
              (加藤宣幸記)